冷徹社長が溺愛キス!?

えぇ!? 早いってば。

またもや速攻で返されてしまった。

“ぷ”から始まって、“み”を入れる……。


「“プレミア”」


これはなかなか早く返せたと思ったところで、「“アキレス”」と社長が答える。

いくら頭の回転速度が違うとはいえ、これではレベルが違いすぎる。
やっと答えたと思ったら、すぐに回ってきてしまうものだから、さっそく頭が疲れてきた。

“す”と“き”……。

うんうん唸って考えていると、後ろで黒いものが動くのが視界の隅に入った。
視線を向けると、それが暖炉の光で揺れる私たちの影だと分かる。
手を上げると、壁に大きなクマ手のような影が写った。

影絵だ。
確か、こうすればキツネになるはず……。

親指と中指と薬指の先をつけ、人差し指と小指をピンと伸ばす。

――なった!

壁に大きなキツネの顔が浮かび上がった。

犬も作れなかったっけ……?
えっと、どうやるんだろう……。

両手をいろんな具合に組み直して、影を確認する。

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