冷徹社長が溺愛キス!?
影絵の指導スイッチが入ってしまったらしい。
社長は突然張り切り出して、私の手をあれこれ組み替える。
「両方の親指は耳だ。もっとピンと張れ」
「は、はい……こう、ですか?」
「よし。で、右手の小指だけ薬指から離す」
私の小指をムギュっとつまみ引っ張る。
「……わぁ、本当だ。すごい。ちゃんと犬ですね」
壁に写った影に感動してしまった。
小指を動かすと、犬が口をパクパクしているみたいだ。
「だろ?」
なんだか社長も満足気だ。
「次は白鳥だ」
「白鳥ですか?」
そんなものも手で作れるの!?
目を見開いて、社長が作る白鳥を眺める。
へぇ、なるほど。
右腕をこうして……左手で羽を……って、あれ? 不格好だなぁ。