冷徹社長が溺愛キス!?
社長の白鳥の隣に並んだ私のそれは、首は短いし羽の角度がおかしい。
「ヘッタクソだなぁ」
そう言うなり、私の両腕をむんずと掴んだ。
さっきより社長の体が近づいたものだから、咄嗟に体が硬直する。
彼からは、ムスク系の香りがほんのりと漂ってきた。
「右腕はもっと伸ばす。それから、左手はこうだ」
「は、はい……」
操られるままに影絵を作りながら、なぜか胸が高鳴る。
「違うって。少し腕を傾けろ」
社長は私の心臓などお構いなしに、さらに密着してきた。
鼓動を鎮めようと、彼に気づかれないように静かにゆっくり息を吸っては吐く。
「ほら、どうだ」
社長に言われて、そこでようやく壁へ目を向ける。
「わぁ……」
そこには、さっき私が作った無様な白鳥の姿はどこにもなかった。