アメトムチ。
「野々瀬局長」
「ん?あ、ちーちゃんだ!やっほー。どーした?」
「あのぅ・・・」の後が、なかなか出てこない私に、局長はもう一度「どーした」と言いながら、俯いている私の顔を覗きこむように見た。

わっ!ののさんの顔が近いっ!
今から言おうとしてることが恥ずかしくて、顔赤くなってるから見られたくないのに!

咄嗟に私が顔を上げると、ののさんのおでこが、私の顎にぶつかりそうになった。

よかった。ぶつからなくて。
ていうか・・・そんなに近かったんだ・・・。

「ちーちゃん?」
「えっと・・・」

ええいっ!ここまで来たんだから言ってしまえ、原知佐子っ!

「き、今日。行っても、いいですか・・局長のお宅に」
「うん。いいよ」
「あ・・・ぁ」
「何」

私は思いきって言ったのに。
ののさんの承諾が、すごく・・・すごーくアッサリしてて。
物足りなさを感じるより、拍子抜けしてしまった。

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