アメトムチ。
何が?それとも何に?
私、何かお礼を言われるようなこと、したか言ったっけ。
もしかして!

「えっと、私、ヘンな寝言でも口走って・・」
「なんも言ってないよ。ただ・・・」

ののさんからフゥと息を吐く音が聞こえてきた。

また本を読みながらうたた寝してしまった私は、部屋の電気を消してなかったはずだ。
でも今は電気が消えている、ということは、ののさんが電気消してくれたんだろう。
これも、いつものパターンだ。

暗がりの中で見える彼の表情は、よく分からない。
嬉しいのか、悲しいのか。
何を言いたいのか・・今の口調からだと、何か言いたいことがありそう、というのは分かるんだけど。
言ってくれないと分からない。


< 62 / 78 >

この作品をシェア

pagetop