そろそろ、恋始めませんか?~優しい元カレと社内恋愛~
「長井……ごめん、うまく説明できないけど……」
彼が、私に寄りかかってる。彼の体の重さを感じる。
「俺、どうしたらいい?亜湖に拒否られたまま、何もできないのか?」
首筋に息がかかる。
「ちゃんと話し合おう。長井が納得するまで」
私は、彼の背中をポンポンと叩いてあげる。
「嫌だ。話なんてしたくない。話し合っていい方向に向かったことないし」
「そうだったっけ?」こじれてる?
「ああ。たいてい、解決するどころか、余計にこじれて喧嘩みたいになる」
「そうだったね、確かにそういうこともあったね」
「分かってもらおうとしてるのに、こじらせちゃうんだ」
私も、そんなこともあったねと頷く。
「うん」
「亜湖?」
「何?」
「俺、亜湖と別れようなんて、今日まで一度も思ったことない」
どういう意味?ふざけてるの?
「ん?今さら、何言ってるのよ」
ひっぱたいて帰ろうとしたら、彼の腕に力が入り、ぎゅっと抱きしめられる。
「亜湖が引っ掛かってるのは、3年前のことだろ?俺、一度も別れたいなんて言ってない」
長井、いくら何でも怒るよ。勝手なこと言わないでよ。
「ちょっと待って。何だっていうの?今になってそんなこと打ち明けられて、どうしろっていうの?」精一杯努力して気持ちを抑えて言う。
彼は、私の肩を捕まえて言う。
「君の方が、ずっと俺の話を聞こうとしなかったじゃないか」
私も彼から、体を放そうと彼の胸を両手で押す。
「私との将来のこと、考えられないって言ったの誰よ」
彼は、ぶるっと頭を振った。
「亜湖、俺、そんなこと一言も言ってない。今すぐには結婚できないって言ったんだ」
「そうよ。結婚できないって言ったわ」
「違うだろ!!俺は、今すぐにはできないって言ったんだ。永久にしないなんて言ってないだろ?」
語気を強めて、泣きそうになりながら彼が言う。