そろそろ、恋始めませんか?~優しい元カレと社内恋愛~
「君が俺の言葉を間違って受け止めて、俺に会おうともしなかったんじゃないか」
彼の手が私を捕まえて正面を向けさせた。
「私のせいだっていうの?」
私だって睨み返す。今さら何言ってるのよ。
「俺は、今でも君に腹を立ててるさ。
俺が言ったこと、もう一度思い出してみろよ。
誰が別れたいって言った?
結婚は、すぐには考えられないって言ったんだ。
どうして、それが別れるって話になる?
電話は着信拒否されるわ、会いに行っても逃げ出すし、
だから、俺だって、かってにしろって腹を立ててた」
「ちょっと待って」
「腹立てて、イライラして、ものに当たったところで、何の解決にもならなかった。君は、俺の話なんかまったく聞こうとしないし。顔を合わせていれば、何とかやりようがあったけど。遠過ぎて、どうしていいのか分からなくなった」
「亜湖がいなくなって、最悪な気分をぶつける相手もいなくなった。本当に最悪だった」
「長井……」
「ちょっとしたすれ違いなんて、すぐに埋め合わせると思ったのに。
君とは話もできなくなっていて、お互いの関係を修復できないまま関西にいなきゃならなくて。
それでも、紗和に連絡役を頼んで、亜湖の、様子を教えてもらった。なんかあったら、亜湖のところにすぐ行けるように。
親しくなりそうな男がいたら、すぐに教えてって頼んで。
一度、紗和から亜湖の隣の席にいる男と親しいって聞いて心配した」
「長谷川課長のこと?」
「ああ」
「確かに、よく話してたけど」