そろそろ、恋始めませんか?~優しい元カレと社内恋愛~
「いらっしゃい!亜湖ちゃん。久しぶりだね」オーナーにそう言われるほど、店に来てなかったっけ?
長井のことで、ゴタゴタして寄り道する余裕がなかった。
なんて薄情な常連客だ。
オーナーは、そんなことまったく気にしないて、にこにこしてる。
「元気だった?」
「すみません、個人的にいろいろあって、足が遠のいちゃって……」
「そりゃあ、よかった。若い女の子が、毎日ここに来るのも、おかしいからね」
肩をポンと叩かれた。
私は、いつものスペシャルモーニングを頼んだ。
お陰さまで、食欲だけはある。
さっきまで、自分の事をアホだと嘆いていても。
珍しく、今日は客が少ない。
オーナーは、プレートを運んで来たまま、私の前の席に座って私の食べっぷりを眺めてる。
「この分だと、それほど悪いことじゃないんじゃないかい?」
「へっ?」
「顔色も悪くないし、食欲もある」
「はい。おっしゃっる通りです」
私が食べ終えるのを、嬉しそうに見守る。この頃、オーナーの視線が、小さかった頃の、父の眼差しと重なる。
「でも、全然問題ないわけじゃないのよ」