そろそろ、恋始めませんか?~優しい元カレと社内恋愛~
ちょっとお節介かなと思うときもある。
オーナーとは、偶然この店に立ち寄って、知り合った。今でも、ここで食事をしてコーヒーを飲むというだけの間柄で、もとから知り合いという訳ではなかった。
オーナーは地方の大学に通うために家を出た娘さんのことを思うと、人ごとじゃないと私のことを心配してくれる。
見ず知らずの街で、もう一人お父さんがいるみたいだ。
知り合いでもない、朝食を食べに来るという女の子のことを、気にかけてくれるのはありがたい。
優人に振られて、3年前のどん底にいたときは、オーナーが私のために作ってくれた食事に勇気をもらった。だから、この場所は、私にとって大切な場所だ。
「は~い。亜湖ちゃんのスペシャルモーニング」こいう言われると、子供みたいで恥ずかしい。
オーナーは、ボリューム感たっぷりの卵のサンドウィッチとサラダの朝食、サイフォン式で入れた、おいしいコーヒーを用意してくれる。
しかも、スペシャルというだけあってこのメニューは、私だけのものだ。
オーナーは、私が一日の大半の栄養を、この店の朝食で取っていると知って、来るたびに少しずつ違ったメニューを用意しておいてくれる。
「亜湖ちゃんは、うちによく来てくれるね。試験に受かったっていうのに、うちの店が気に入ってくれて、こんなとこまで来てくれるんだ。こっちも頑張らなきゃ」
「だって、こんなの見せられたら、ほかの朝食、食べられないもん」