そろそろ、恋始めませんか?~優しい元カレと社内恋愛~

紗和の大きな笑い声が、ご近所中に響き渡る。

「長谷川課長と付き合ってるから、付き合えない!!マジか!!腹痛い!!そんなこと信じるやつ、地球上にいないって」


「どうしよう」
もちろん、信じてもらいたいっていう意味じゃなくて、私が嘘をついたことを課長に言わなくてはならないことだ。

「いっそのこと、課長に付き合ってくださいって言えば?」
紗和は、完全に面白がっている。


「だって、課長には彼女いるし」


「チャレンジャーだよね。亜湖、長谷川課長レベルになると、付き合って欲しいって思うだけで、勇気いるよな。容姿もあれだし、バカなこと言ったら、プッて鼻で笑われそうだし。それに、亜湖あんた、隣に立って耐えられる?」


「別に、普通に。というか、そういうこと考えたことない」


「お-おおっ、命知らずめ。あんなに完璧人間の横に立って自分と比べてって思わない?」


「考えたことない」


「へええ。すごいじゃん」


「だって、付き合いたいだなんて思ったことないもん」


「じゃあ、いいんじゃない。意外とお似合いかも」



「紗和ったら、あんまり面白がらないでよ」
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