そろそろ、恋始めませんか?~優しい元カレと社内恋愛~
案内係りの女性は、スーッと引き戸を引いて、こちらでよろしいでしょうかと案内してくれた。

「ああ、ありがとう」

課長がそう挨拶すると、ごゆっくりと引き戸を閉められ、課長と二人っきりになった。


相談があると課長に伝えたので、個室の席をとってくれたのだろう。さりげなく気を使ってくれる。


課長は、ネクタイを少しゆるめながら、

「久しぶりだね」
と言って笑いかけてくれる。

しばらくは、仕事の話。
といっても、堅苦しい話じゃなくて、出張先でのこと、新しい職場のこと。

私が退屈しない様に話をしてくれている。

私は、自分から話をすることもなく、課長の話を聞いていた。


課長は、袖のボタンを外しながら、私の視線に気づいて、チラッと笑顔を見せる。

時々、こういうの計算してるのかと思ったりする。

でも、私にまでそんなサービスする必要ないはずだから、これが普通なんだろうな。

つい、この間まで私の隣の席にいた時は、課長のこと、全然意識してなかった。

仕事が異様にできるなと思ったくらい。

佐和に、課長の噂を吹き込まれてから、本人を前にすると、どうしてか緊張してしまう。


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