健康診断の甘い罠
「だって、こうしてると気持ちよくて、落ち着くんだもん。和弥くん、眼鏡外さないの?」
眼鏡をかけたままの和弥くんにそう言うと私の背中に手を回してさっきみたいに背中と頭を撫でてくれる。
和弥くんにこうされると、何でなんだろう。温かくて、すごく気持ちが良くて瞼が重くなってくる。
「千紗が寝たら外すよ。まだ顔見てたい。千紗、俺のこと好き?」
額に唇が触れて、和弥くんがそう呟いた。
「……ん、好……き」
その言葉を呟いた時には私の意識は半分なくなっていた。
和弥くんの優しい腕が私を包み込んでくれて、すごく安心できて、意識が沈みこんでいく。
「……もうちょっと、かな。おやすみ、千紗」
そう言った和弥くんに答えることはできなくて、私は深い眠りに落ちた。