健康診断の甘い罠
なんか電話って、声が近く感じて変な感じ。耳元で話されてるみたいでドキドキしてくる。
「大丈夫、です」
自分でも分かるくらい固い声が出て電話の向こうで和弥くんが笑ったのが分かった。
『なんか緊張してる?敬語になってるし』
和弥くんに笑われてちょっと恥ずかしくなるけど、電話なんてほとんどした事がないから仕方がないと自分に言い聞かせる。
「電話とか、あんまりしないからビックリして携帯落としちゃった」
正直にそう言うと和弥くんがぶふっと吹き出した。
『あはは。それはビックリさせてごめん。寝る前に千紗の声聞いたらよく眠れるかなって』
笑いながらサラッと言われたその言葉に私は一瞬動きを止めて手に持った携帯を見て、電話だった事を思い出して慌てて携帯を耳に当てる。
「え?眠れないの?」
私、寝付きがいいからよく分からないけど。寝たいのに眠れないってキツイよね。