じれったい
「母が亡くなった時、私は14歳の中学2年生でした。

葬儀の準備でバタバタしていたから遺品を整理する時間がなかったと言うのももちろんあるんですけど、1番の理由は母の死を認めることができなかったと言うことでした」

そう言った私に、
「それがどうして遺品の整理をしようと思い立ったのですか?」

玉置常務が聞いてきた。

「映画を見たんです。

深夜の時間帯に放送されていたもので、途中から見たからタイトルはよくわからなかったんですけど、その中でとても印象的なセリフがあったんです。

“思い出と言うものはさ、乾けばすぐに燃えてしまうものなんだよ”…って」

映画の中のセリフを言った私に、
「『さよならの君へ』、ですね」

玉置常務が言った。

「えっ?」

聞き返した私に、
「君が見たと言う映画のタイトルです」

玉置常務が答えた。
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