じれったい
「あの…どうして、私が見ていないことに気づいたんですか?」

そう聞いた私に、
「あなたは“いい映画でした”と一言だけ感想を言いましたけど、それに関する詳しいことは何も言っていなかったじゃないですか」

玉置常務から言った。

「ああ、はい…」

私は呟くように返事をすることしかできなかった。

「今度はちゃんと見て、僕に感想を聞かせてくれませんか?」

そう言った玉置常務に、
「えっ?」

私は聞き返した。

「もう少しだけ、あなたに貸してあげます。

だから、また感想を聞かせてください」

玉置常務は微笑んでいた。

見ていなかったことを責められるのかと思いきや、意外な展開である。

その展開に戸惑いながら、
「はい」

私は首を縦に振って返事をした。
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