Ability world
さて、邦弘はこの違和感が何なのか気になり、紙を眺めた。するとふっと絵が浮かんだ。
まるで炙り出しのように、紙に地図が浮かんできたのだ。

「なんだこれ!おもしれー!」
科学的なものは割りと好きな邦弘は原理は知らないまでも、不思議な体験をしたことに感動を覚えた。みんなにも見せてやろう。そんな気持ちだった。

地図は大学周辺のもので、わりと近くを示していた。終着点には「ability shop」と書かれた小屋が記されている。
しかし、困ったことがある。
大学のために引っ越してきた邦弘であるが、引っ越してきてから既に2年を経過しようとしている。大学周辺の地理も理解しているつもりである。

そう、その終着点にはなにもないはずなのである。ほんとに先日、つい1週間ほど前にもその辺りを通ったが、それらしいものはなかった。
ましてや空き地だったわけでもなく、ほんとにそこにはなにもないはずだったのだ。
それだけが気がかりでならなかった。

しかし、炙り出しの原理や都市伝説の影響か邦弘は行ってみようかと考え始めていた。

自転車でもそんなに遠くない。
もしイタズラだとしても、行ってみる価値はある。そう考えていた。


それに、違和感にも引っ掛かりを感じたからだ。

そして邦弘は、自転車を走らせた。



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