恋色シンフォニー 〜第2楽章〜

夕方、帰りがけに、玄関で望月さんが頭を下げた。
手には紙袋。

「大したことしてないのに、こんなにいただいちゃってすみません」

「いいのよ。もらってくれて逆に感謝してます。今日は手伝ってもらえてすごく助かっちゃった。ありがとう」

お気に入りブランドのセール時に、気の迷いで買った、ふわっと系や、かわいい系の洋服。
ほとんど着ていないそれらから、望月さんに好きなものを選んでもらった。
彼女の雰囲気なら、とても似合う。
幸いサイズも合うし。

押し付けにならないか心配だったけど、望月さんは恐縮しつつも、素直にうれしそうに受け取ってくれた。
着るの楽しみです、と言いながら。
何てかわいい、いい子なの。

さっき、してあげたメイクとヘアアレンジで、キラキラ度合い、三割増し。

隣で、真木さんが苦い顔をしている。

ふん。
どんどんキレイになって、どんどん焦らせてやればいいのよ。


< 43 / 62 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop