恋色シンフォニー 〜第2楽章〜
夕方、帰りがけに、玄関で望月さんが頭を下げた。
手には紙袋。
「大したことしてないのに、こんなにいただいちゃってすみません」
「いいのよ。もらってくれて逆に感謝してます。今日は手伝ってもらえてすごく助かっちゃった。ありがとう」
お気に入りブランドのセール時に、気の迷いで買った、ふわっと系や、かわいい系の洋服。
ほとんど着ていないそれらから、望月さんに好きなものを選んでもらった。
彼女の雰囲気なら、とても似合う。
幸いサイズも合うし。
押し付けにならないか心配だったけど、望月さんは恐縮しつつも、素直にうれしそうに受け取ってくれた。
着るの楽しみです、と言いながら。
何てかわいい、いい子なの。
さっき、してあげたメイクとヘアアレンジで、キラキラ度合い、三割増し。
隣で、真木さんが苦い顔をしている。
ふん。
どんどんキレイになって、どんどん焦らせてやればいいのよ。