恋色シンフォニー 〜第2楽章〜
「すっごく、えっちな顔、してる」

「そっちこそ……」

「うん。自覚してます。責任とって?」

色気だだ漏れの圭太郎が、こちらに向かってくる。


あぁ。
もう。

欲望が、羞恥心をねじ伏せた。


「……抱っこして」


とはいえ、シラフで甘えるのはこれが限界です。


「うわー、煽るなぁ。うん、頑張ってよかった。よし、じゃ、手を洗ってくるから、待ってて?」


思わず笑ってしまった。
こういうところ、ほんと育ちがいいんだから。






パガニーニ、おそるべし。
とんでもなく濃密な夜になった。

「やっぱり甘える綾乃はかわいい。丸ごと食べちゃいたい」

とか。

「されるがままの綾乃もそそられるけど、積極的なのも刺激的でたまんない」

とか。

「身体柔らかくして、体力つけてよかったでしょ? こんな格好できるし、たくさんできるし」

とか。

これでもか、というくらい甘ったるいセリフを吐かれながら、翻弄され、めくるめく世界を味わうこととなったのだった……。






翌朝目覚めると身体中が悲鳴をあげて、私は悟った。


他人に努力を強いるには、

自分にもそれ相応の覚悟が必要だ、

と。








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