反対言葉。
ぶふ、と遠くで笑う音がした。


電話口で噴くとうるさいし、キーンってなるから、一応配慮してくれたのだとみえる。


「何、お前……っ、ずっと俺のこと俺様だと思ってたわけ?」


笑いすぎて聞き取りにくかったけど、くつくつ喉を鳴らしている高良さんに率直に頷いた。


「そうですね。あとたらしだなあと」

「たらしー!? やべえ何それ、お前初心かよ」

「初心で悪かったですねうるさいですよ! いいじゃないですか別に! う、…初心でも!!」


思わず大きく叫ぶと、自分でも分かるほど音割れがひどい。


つい叫んじゃったけど耳痛くなってないかな、ごめんなさい……!


「耳元で叫ぶなあほ」


不機嫌な口調にうなだれる。やっぱりうるさかったですよねごめんなさい……!!!


「すみません……」

「まあ、そういうちょっと抜けてるとこも、可愛いっちゃ可愛いけどな」

「っ」


わざとだ。絶対わざと、わざとのはずだ。


……でもなんか、こう、わたしは高良さんに弱いらしい。


赤くなる顔を両手でぱたぱたあおぐ。


高良さんはきっと、途端に反応がなくなったわたしに、電話の向こうでにやにやしているに違いない。


「おっまえからかい甲斐があるなー」

「いりませんそんな甲斐性!」

「すげー楽しい」

「知りません!」


ひとしきり大笑して、高良さんは耳慣れた呼び名でわたしを呼んだ。


「雑草」

「……なんですか」

「ふててんなよ、俺が悪かったから」


むくれるわたしをなだめてから、突然真面目になる。


そしてやっぱり、高良さんは俺様なのだ。
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