反対言葉。
「お前、俺が何でこんな約束したか分かってるよな」

「……知りません」


問いかけに見せかけた断言に、確信がにじんでいる。


耐えられなくてお茶を濁した。


分かりません、じゃなくて知りません、だったのがいい例だ。


「逃げるなよ。分かってるだろ?」


問いかけなのがずるかった。


決めるのは全部こちらだ。


正解を知っているのはあちらの方なのに、意地悪な彼はわたしに答え合わせをしろと言う。


無謀で賭けで俺様な、甘ったるい答え合わせを。


「雑草」

「っ」


これに答えるのはわたしの告白と同義だ。


ハイリスクローリターン、不利すぎる。


「黙秘権を行使します」

「認めない」


即答して高良さんはもう一度言った。


「答えろ」


嫌だ。言えない。


言ったら終わりだ。好きってばれる。


そんなのは嫌だ。


「言えよ、結衣」


やめて。名前を呼ばないで。


甘ったるい促しはいらない、嫌なんだ。


優しい声音につられて吐露したら、何もかもが白紙になる。
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