反対言葉。
「何言ってるんですか……!」


あわあわするわたしなんかそっちのけで、高良さんは一人、今後の予定を練っている。


「あ、でもまずは受かれよ。ことはそれからだ」

「はい。頑張ります」


そう、なのだ。まずは大きな壁が待ち構えている。


暗くなるわたしを励ますように、高良さんは優しい付け足しをした。


「そんな気負うな」

「む、無理です」

「俺は同じ大学じゃないと付き合わないなんて非道人じゃねえよ」


それは分かってる。


今まで連絡が少なかったのは、わたしの邪魔をしないようにだってことも。


高良さんがちょっと面倒くさがりで、俺様で、なんか偉そうで、でもすごくいい人で、実は優しいのは、知っている。


「俺は結衣だからいいんだからな。待ってるから、焦るなよ」

「はい」

「何かあったら連絡しろ。何かなくてもとりあえずしろ。電話くらいならいくらでも出る」

「はい」


結衣、と呼ばれて、はい、と返事をした。


「……頑張れって言ってほしくなったら、そんなの別に、いくらでも言うから」


無理は、するなよ。


優しいささやきに、はい、と返事をした。


「…………あー、なんだ。まあ、お前は雑草だからな。踏まれてもめげずにいこう」

「余計ですよそれ。台無しです台無し。というかなんで雑草呼びに戻るんですか。結衣って呼んでくれないんですか」


せっかくいい感じだったのに、雰囲気ぶち壊しだ。


「……うっせ」

「高良さん?」


いぶかしんだわたしの呼びかけに、しばらく無言で。


察しろよ、と小さく呟きが落とされる。


「…………これでも照れてんだよ、ばーか」
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