誠狼異聞―斎藤一、闇夜に駆けよ―
「そうか、斎藤は会津の血を引く男か。
ならぬことはならぬものです。不条理のまかり通る世の中だが、守るべきものは堅く守らねばならぬ、という意味だ。
忍耐と自制、忠誠と義理を重んずる会津の心が、ならぬことはならぬものです、その言葉によく表されている。
しかし、そうか、新撰組にも会津の心を知る者がおったのか」
斎藤は、居たたまれなかった。
什の掟に照らしてみれば、俺はなんと価値のない人間なのか。
嘘つきで、卑怯で、強さを振りかざして人を斬るのが役目だ。