本当の遠距離恋愛 1
 「風邪でしょうね」

 内科の先生はそういった。

 簡単な診察であった。

 経験豊富そうなおじいちゃん先生である。

 数え切れないぐらいの患者さんを診察してきたのだろう。

 その経験上「風邪」と診断してくれた。

 紗希は本当は血液検査をしてほしかったが・・・

 白血球やCRP(炎症反応)の検査をお願いしたかったが、
  ここでもし採血しても結果は約1週間後になる。
 
 小さな病院や医院では採血した血液を「臨床センター」に依頼する。

 「至急」でだしても今すぐとはいかない。

 薬を出してもらい、帰宅した。

 抗生物質、抗炎症剤、胃薬、解熱剤が入っていた。

 
 冷凍庫のピラフを食べ、薬を飲み、デートの身支度を始めた。





 愛美は高級ホテルの中の「割烹 扇」にいた。

 畠山と一緒である。

 
 「素敵ね、この器」

 「そうだね、有名な陶芸家の作品だよ」

 「わあ!すごい!」

 「名前は知らないけど!」

 ハハハハハハハハハハハハハハ!!!

 畠山は先祖代々政治家の家系である。

 いわゆるサラブレッドだ。

 しかし、そんなことをひけらかさない大らかな人だ。

 そんな畠山に愛美は心底惚れていた。

 畠山も無邪気で可愛い愛美に惚れている。

 2人は将来を誓いあっていた。

 そう、結婚だ。

 まだ双方の親には話していないが。

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