本当の遠距離恋愛 1

 「お父さん、お母さんに紹介したい人がいるんだけど・・」

 愛美は畠山のことを両親に打ち明けている。

 自分の子供がそういう言葉を言い出す時、
  親の心境はどんな感じだろう。

 特に父親。

 男の子だったら母親の心境は?


 その相手がろくでなしの場合、修羅場をむかえることだってあるだろう。

 でも愛美の場合は・・・


 政治家だ。文句のつけどころなし!

 将来は「大臣」にだってなれるかもしれない。

 家柄も全く問題なし。
 愛美の話だと人当たりもいいそうだ。

 両親は反対するどころか諸手をあげての 大賛成。

 「政治家の妻は大変だろうが、しっかり支えてあげなさい」

 父親の涙ぐんだ声をしっかり胸にうけ、愛美は「はい」と答えた。







 「そのお嬢さんはどこの大学を出て、何をなさっていたの?」

 畠山も両親に愛美のことを話していた。

 「大学? 看護大学だよ」

 「看護師さんなの?」
 怪訝そうな畠山の母。

 「東京医療センターで働いている」

 「・・・・・・・」

 畠山は「月」で知り合ったとは言えなかった。

 政治家は何かとややこしい。

 水商売の女は一番毛嫌いをする。

 飲みに行くことはいいが、付き合うとなると・・・

 とりわけ結婚の相手がホステスとは胸を張って言えない。

 「私は反対だ!」

 横から父が口をはさんだ。

 畠山陽一 今の中川内閣の外務大臣である。

 「私も反対です!」

 また母もそう言いきった。
 
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