本当の遠距離恋愛 1

 「おい!竜一、こっちにきなさい」

 畠山陽一、竜一の父で中川内閣の外務大臣である。


 「竜一、総理からこんな申し出があった」

 陽一は総理の姪の祥子が竜一のことを好いていることを話した。

 「竜一、チャンスだ!」

 「・・・・・・」

 「何を躊躇することがある!」

 「・・・・お断りします」

 「何を!」

 「僕は愛美と結婚します」

 「ばかもの!!!!!」

 「・・・・・・・」

 「竜一、お前はまだまだ甘い・・・
   そんな申し出を断ってこの世界に居れると思っているのか?」

 「・・・・・・」

 「総理大臣になりたいんだろ?」

 「・・・・・・」

 
 竜一は家を飛び出した。

 「あなた、大丈夫でしょうか?」

 「・・・・・」


 妻の良子は不安そうに夫の顔を覗きこむ。

 「大丈夫もなにも必ず結婚までこぎつける!」

 


 竜一は雨の中、車を走らせた。

 ラジオからは今日の国会の様子が流されている。

 記者からの質問に中川総理は強い口調で的確に答えている。

 竜一は車を止め、ラジオからの総理の言葉を聞いていた。

 

 

 畠山内閣・・・・

 内閣総理大臣 畠山竜一君・・・・

 
 竜一は中川総理と自分を重ねた。

 
 雨が窓につたう

 まるで竜一が泣いているようにみえる。


 いや、泣いているのか・・・・
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