君を待ってるから
屋上に着いて、凪は私の手を離して、空を見上げた。
空には、ひこうき雲と太陽。
太陽はもう夕日のように見えた。
地面にうつる凪のかげのシルエットはきれいだった。
でも、凪の横顔の表情は曇って見える。
なんだか少し、悲しそうな。
「凪、どうかしたの?」
聞いてみたけど、凪は黙ったまま。
気のせいだよね。
気にしない、気にしない。
「なぁ。」
空を見上げていた凪が、言った。
「ん、何?」
ちょっと、沈黙が続いた。
もう一回聞こうと思ったとき。