あなたの願いを叶えましょう
「ここでーす!ここ!ここ!」

梁川さんが意気揚々と紹介してくれたのは、地下鉄を二本乗り継いだ駅から、十分ほど歩いた、路地裏にあるタイ料理屋さんだった。

店の前に置かれた薄汚れた外看板には簡素な文字で店名が書かれていた。

タイ語だから読めないけど。

よりにもよって何でこの店なんだろう。

いかにも怪しげな雰囲気に私の小さな胸に不安が広がる。

しかし梁川さんは一切の躊躇もなく「こんにちはー!」と元気よく店の中へと入って行く。

マ、マジか…

私は恐る恐るその小さな背中について行く。

店内に入り、ぐるりと辺りを見渡した。

テーブル席が数席とカウンターのみでそんなに広くはないようだ。

レンガ色の壁にはタイの風景写真や、民芸品らしきお面、タイのアイドルであろう女の子のポスターやメニューがところ狭しとベタベタ貼られている。
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