あなたの願いを叶えましょう
「もちろん、事業統括部からもヘルプで花本を出します」

花本も黒澤氏のまさかの無茶振りにお口をぽっかーんと開く。

「でも!いきなり前日に言われても困ります!こっちだって色々段取りがあるんですから!無理です!無理無理!ぜえったい無理!」

私に残された休日出勤から逃れる道―――

それは逆ギレで突っぱねる、という力技だ。

「無理、ねえ」

黒澤氏はスッと目を細め、不気味な笑みを浮かべる。

「じゃあ、どうして無理なのか、どうすれば無理じゃなくなるのかジックリ考えましょうか。4人で、此れから」

花本と恵梨香ちゃんがそろって私に縋るような視線を向ける。

金曜の夜、予定があるのは私だけではないらしい。

「冨樫さん」

黒澤氏はスラリと長い人差し指でテーブルをトントンと叩く。

「たかがアンケート、と思っているかもしれませんが、お客様の生の声は近々横浜のM区に立てる郊外型ショッピングモールのプロジェクトを進める上で重要なデータとなります。子育て世帯が此れほど集まる機会はなかなかありませんし、無料でイベントに参加する対価としてアンケートにも協力していただきやすいでしょう」

黒澤氏は理路整然と私を説得しにかかる。
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