あなたの願いを叶えましょう
ああ、そうか。

黒澤波留は梁川さんを、護りたいんだ。

以前、駅のホームで見つめ合っていた二人の姿が脳裏を過る。

この人はもしかしたら、ろくでなしの兄に振り回されている可憐な義姉に恋をしているのかもしれない。

そう思ったら、ズシリと胃が重くなって、一気に食欲がなくなった。あんなにお腹が空いていたのに。

「心配しないで。誰にも言ったりしないから」

私は箸を握る手に力を込める。

「ありがとう、富樫。助かるよ」

そう言って黒澤波留はホッとしたように笑みを浮かべる。

その顔を見ていると泣きたくなるのは何故だろう。

喉の奥に込み上げてくる熱いものを押し込むように、無理矢理カツ丼を口の中に押し込めた。
< 120 / 246 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop