あなたの願いを叶えましょう
「17:00から打ち合わせでしたよね」

そうであった。

工藤さんと話し込んでいてすっかり忘れとった。

「申し訳ありません!」

慌てて書類をかき集めて立ち上がる。

工藤さんをエレベーターホールまでご案内しに行くと、ちゃっかり黒澤波瑠も後から付いて来た。

私が無駄なお喋りをしないよう見張りに来たのかもしれない。

「それでは例の件につきましては、進捗があればまた私から連絡します」

工藤さんは、エレベーターのボタンを押しながら、恋バナをビジネスっぽく伝えると折り目正しく一礼する。

あなたの気持ちは伝わりました。

……とりあえず私には、だけど。

そう言い代わりに、私はコクリと頷くと、工藤さんはホッとしたように口角を微かに上げる。

ベルが鳴り、エレベーターが到着したことを告げる。

工藤さんが乗り込み扉が閉まるまで、お辞儀をして見送った。
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