あなたの願いを叶えましょう
「失礼。それは初耳でした」

私はコホンと小さく咳払いをして取り繕った。

「冨樫さんはてっきりご存知かと思いました」

工藤さんは、ポケットから折り目のついたブルーのハンカチを取り出し、額に薄っすら浮かんだ汗を拭う。

「彼女、お付き合いされている方とかいらっしゃるんですか?」

「今、彼氏はいませんよ」

私の一言を聞いて工藤さんはホッとして目元を綻ばせた。

「だから今度飲みにでも誘ってもらっても大丈夫だと思います」

「はい!是非」

工藤さんはパァっと花が開いたように笑う。

別に私が誘われる訳ではないのだけど、なんかいい気分。イケメンって自然と人を幸せにする生き物だ。

「冨樫さん」

不意に声を掛けられて、顔を上げるとにっこり笑顔の黒澤波瑠が立っていた。
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