あなたの願いを叶えましょう
「キャンペーンチラシ作成の稟議書、回付してくれない?止めてるでしょ」

昨日回付されてきた梁川さんの稟議を思い出す。

「その事ですが、チラシの作成部数ちゃっかり上げてませんか?20万部が45万部って…倍以上じゃない!」

思わず興奮して声が大きくなってしまった。

司会進行役を務める事業統括部統括チームの課長がチラリと咎めるように此方へ視線を向ける。

白髪混じりの髪をぺったり七三分けにして、いかにも神経質そうな様相だ。

私は口を噤んで下を向く。

「ああ、それ?配布する対象地区が拡大なったんだもん」

梁川さんは無邪気に言う。

「じゃあ、追加の25万部についての予算は事業開発部持ちって事で」

私が毅然と言い返すと、梁川さんはハッと大きな目を更に大きく見開いた。

「なんでよ!制作費はCRM推進部の経費でしょう」

声が大きかったのか、司会の課長が咳払いをして此方をジロリと睨みつける。

私と梁川さんは『何かご用かしら?』と言わんばかりに、イギリス王妃顔負け(…と、本人たちは思っている)の澄ました笑みを浮かべてかわす
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