あなたの願いを叶えましょう
「事前に申請してた20万部の予算は此方で持ちますが、超過した25万部については事業開発部で負担してください」

「それは規定と反してるんじゃない?」

梁川さんはやっぱり折れない。

最近気づいたのだけど、この可愛い顏と反してかなり推しの強い人だ。心臓には多分毛が生えているに違いない。

「事業開発部はいっぱいお金持ってるんですからいいじゃないですか。こっちはカツカツなんですよ」

「いやいやいや、お金はあるけど、それとこれとは別だから」

やっぱり持ってんだ、お金。

私は恨みがましい視線を向ける。

梁川さんは小さくため息をついて額に薄っすら浮かんだ汗を拭った。

「次は事業統括部の【ドレッセ藤ヶ谷】の一次公開販売促進について発表をお願いします」

司会進行役である課長が言うと、梁川さんが凛々しい返事をして席を立ちあがる。

その拍子に、手に持ったA4資料がばさりと床に落ちた。

私も拾い集めるの手伝って、資料を渡すと受け取る華奢な手が微かに震えている。
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