あなたの願いを叶えましょう
「おい波留」

二つ上で小学校五年生の兄ナオシがニヤニヤしながら近寄ってきた。

企み顔をしてる時の兄は大抵ロクな事を考えていない。

「なぁに?お兄ちゃん」

しかし、当時三年生のピュアだった俺は人を疑ってかかるという事を知らなかった。

「去年の運動会ではリレーの選手に選ばれなかったよなぁ」

俺は悔しさと羞恥から唇をギュっと横に結び俯く。

一学年でリレーの選手に選ばれるのは男女各8名づつ。

50m走のタイムを計り、上位者が選ばれるのだが昨年の俺は緊張のあまり腹が痛くなってしまった。

実力が発揮出来ず惜しくも10位。

補欠止まりというダサい結果に終わった。

「今年は波留がリレーの選手になれるよう、俺は秘密の特訓を考えた」

ナオシは俺の頭に手を置くと力任せにグリグリ撫でる。

さも素晴らしい案に思えて俺の胸は期待で高鳴る。
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