あなたの願いを叶えましょう
確かに昔からなおしに声を掛けられた女子は頬を赤く染めていたものだ。

今日も水色のシャツに紺のピンストライプのスーツを合わせお洒落にに余念がない。

長身、という事においては俺もさほど変わらないが、ナオシは大人の男の色香が漂っている。

「今度波留がお世話になっているお礼に今度三人で食事でも行きましょう。美味しいものをご馳走させていただきます」

そう言ってなおしは梁川さんににこりと微笑みかける。

梁川さんは更に顔を真っ赤にして「ああ…はい…ぜひ」と蚊の鳴くような声で返事をする。

この人も女だったんだ。

なんだか感慨深くすら思えた。

「ではまた改めて」と言い残し、なおしは颯爽とした足取りで去って行った。

「すみません、軽薄な兄で。気にしないでください」

梁川さんはナオシの名刺をほっそりした指でギュっと握りしめている。

「黒澤くん、一目惚れって信じる?」

悪い冗談だと思った。

……全然笑えないけどね。
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