あなたの願いを叶えましょう
「お疲れ」

不意にデスクの上に缶コーヒーが置くと同期の冨樫円はハッと上を見上げる。

その顔は誰もが振り返るほどの美人、ではないものの、程々に洗練されていて、程々に可愛らしい。

「…ありがとう」

冨樫円は突然の差し入れに戸惑いながらも缶コーヒーを受け取る。

「どういたしまして」

俺がニコリと微笑み掛ける。

程々に可愛い冨樫円は程々に賢く、程々に仕事も出来る。

お願いしたことはきちんと期日までに仕上げるし、女性ならではの細やかな視点で資料も正確で見やすく丁寧だ。

気付いた事は積極的に提案し、それを実行する行動力もある。

冨樫円は人より特出して秀でたところはないものの、全体的に程々にいけている。

そう、俺にとっては絶妙なバランスなのだ。

「随分遅くまで頑張ってるな」

「誰のせいだと思ってんのよ」

労いの言葉をかけたものの、冨樫円は威嚇している犬のように鼻の頭に皺を寄せる

残念なことに彼女は俺の事がそんなに好きじゃないらしい。寧ろ嫌われているのかもしれない。
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