あなたの願いを叶えましょう
身体の関係を持って黒澤波留を繋ぎとめられるのなら、一肌も二肌も脱ぐだろう。

だけど、それは逆効果だ。

彼の気持ちは離れていき、残るのは私のドロドロとした執着だけ。

想像しただけでゾッとした。

それを自分のなかだけで昇華するのにはどれほどの年月がかかるのだろう。考えただけでも気が遠くなる。

「帰ってゆっくり考える」

私は黒澤波留の胸に手を添えて、顔を横に背ける。

「やっぱり、富樫は丁度いい」

黒澤波留は、謎の言葉を残して私の頭を再びわしゃわしゃと撫でた。

だけど目元を柔らかく綻ばせて微笑むと、すごく優しそうで、魅力的で、やっぱり大好きだって思った。
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