あなたの願いを叶えましょう
今すぐにでもあの紙をひったくってシュレッダーに突っ込みたい。

そんなことをすれば恐らくどこかに飛ばされるだろうけど。

「事業統括部、黒澤波留」

まさかの一番手とな……!

膝からがくりと崩れ落ちそうになるのを私はなんとか堪える。

隣に並ぶえりかちんがそっと腕に手を添えてくれた。

「はい」

黒澤波留は精悍な面持ちで前に出て行く。

いや、いやだ、やめて…!

叫び出したい衝動に駆られる。

「あの、私トイレ……」

次の衝撃を受けるのは耐えられないと思いこそこそとこの場から逃げ出そうとするが「えんさん」と、えりかちゃんに小声でたしなめられる。

黒澤波留は折原常務の向かいに立つと、真っすぐに前を見据えた。
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