あなたの願いを叶えましょう
爽やか王子が不倫とはな。

…しかもまさかの社内不倫。

「ふは…ふははははははー!!」

隣のおっさんがビクリと肩を痙攣させて訝しげな視線を向ける。

電車の中で突如笑いだす頭のおかしな女だと不審がっているに違いない。

はっと我に返り、誤魔化すようにコホンと小さく咳払いをする。

…特ダネゲット。

心の中でガッツポーズを作る。

これで月曜日のランチは二人の話題で持ち切りだな。

今すぐにでもLINEで拡散させたいところだけれどここは我慢。

どうせなら、みんなの驚く顔を見てみたい。

「ムホッ…」

リアクションを妄想しては思わず頬が緩んできてしまう。

隣のおっさんが再びチラリと警戒の視線を向けて来たので、口元を手のひらで慌てて抑えた。

取り急ぎ、明日のイベントでは花本を締めあげて話題に華を添えるような特ダネをゲットしておこっと。

あの憎らしい腹黒爽やか男の失墜を思うとなんだか胸がスウっとする。


いつの間にか目眩はスッカリ良くなっていた。
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