あなたの願いを叶えましょう
「伊神です。現在金融関係の仕事をしています」

この人が証券会社にお勤めのフェス好きという友人だろう。

紳士な振る舞いが何処となく黒澤氏の纏う空気と似ている気がする。

という事は二重人格の腹黒男だという可能性もある。きちんと見極めなければ。

「もしかして波留と同じ会社の人?」

伊神さんは私の顔を興味深そうにジッと見つめる。

もしかして婚活の事を事前に言ってあるのかな。

だとしたらがっついた女だって思われるかもしれない。

誤魔化すように澄ました笑顔を作って小さく頷いた。

「黒澤さんとは同期です。と言ってもつい先日知ったばかりですけど」

なるべく親密さが出ない言葉を選ぶ。

「お名前は?」

「こちらは冨樫さん」何故か黒澤氏が答える。

へえ、と言って伊神さんは唇の端をあげて笑う。

「冨樫さん、波留に虐められて大変でしょう」

「え…?」

何故それを?!この人は超能力者なのだろうか?

驚いて目を見張っているとテーブルの下で足を軽く蹴られる。

「黒澤さんはいつも紳士で優しいですよ」

私以外の女子にはね…と心の中で付け足す。

嘘はついていない。
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