あなたの願いを叶えましょう
今度は私がギクリと固まる番だった。

鞄を掴み、恐る恐る身体を起こす。

スラリと背の高い男性が柔和な笑みを湛えて、花本の側に寄り添うようにして立っている。

出たな…黒澤波留…。

どうやら花本は仲間を呼び寄せることに成功したらしい。

「何かご用でしょうか。黒澤さん」

敵認定している黒澤氏とは一切視線を合わせることなくつっけんどんに尋ねる。

「土曜日のイベントの件でご相談があります」

「月曜じゃ駄目ですか?」

「申し訳ありません。イベントは土曜日なので月曜日では間に合いそうにありません」

眉根を寄せて申し訳なさそうな表情を装っているけど、この男が本当に申し訳ないなんて思っている訳がない。
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