「君へ」 ~一冊から始まる物語~


放課後生徒会室に報告に行くついでに気まずいが、唯都に買い物を手伝って貰おうと思った。

お母さんたちがいつ帰ってきてもいいようにするためだ。


「失礼します。」

「どうぞ。」


中から衿基会長の声がした。


「報告に来ました。」

「何か変わった事は。」

「下校中怪しい男女のグループを見ました。まだ監察中です。」


私は主に登下校の生徒の素行を監視する役割になった。

もちろん晴も一緒だ。


「報告ご苦労。引き続き宜しくね。」

「分かりました。」


私は報告が終わると辺りをキョロキョロした。


「どうしたの?」

「いや、唯都と一緒に帰ろうと思ったんですけど...」


いくら辺りを見渡しても唯都は見当たらなかった。



「唯なら体調が悪いって授業後すぐ帰ったけど。」


やっぱり体調が悪かったんだと後悔に襲われた。


「すみません。ありがとうございました。失礼しました。」

「お大事に。」

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