こんにちは、頭蓋さん。
ヘタレ男に弁当



矢野目大学には敷地内にカフェがある。

田舎の都会のような市だから近くにコンビニもあって、弁当を持参する人間は半数以下だと聞いたことがある。


私もお弁当を作るのは面倒だし、ただでさえある男の食事も作らないといけないからそんな暇はない。



「ねぇ、綾のお弁当食べてみたいな」



図々しいお願いを聞くほど恩は売られてないぞ。



「ほらうちの部署男ばっかりでしかも既婚者多し、なんだ。毎日愛妻弁当とか見てると、ねぇ、コンビニ弁当が虚しく見えてきて……」



コンビニ弁当開発者に謝れ。



「だから出来れば、明日だけでもお弁当作ってくれたり……しませんねすいません」



私の鬼の形相を見たのか、頭蓋さんはふにゃりと笑ってカウンターから離れた。


わざわざこうして夕飯も作ってあげてるというのに、なんと厚かましい。



「はい、肉じゃが。好きですよね」

「うぉぉあ、に、肉!じゃっが!ありがとう綾っ」



皿をテーブルに運ぶ私に抱きつく頭蓋さん。


こうしてたまに彼の好物を作ってあげると、すぐに喜んでやってくる。どんなに拗ねてても。
大人気ない。実に。



「いただきます!」

「どうぞー」



しかしどんなに舞い上がってても食べる時はきちんと行儀良くするのが彼だ。その辺のスイッチを朝に生かせないのか。


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