こんにちは、頭蓋さん。
浮上する疑問点



今日の夕飯は炊き込みご飯と鯖の煮物に味噌汁、彩りに欠けるから野菜の胡麻和えもある。とことん和風に凝ってみた。


自分でも結構上手くできたな、と思って食べている時だった。



「ねぇ綾、映画見に行かない?」



向かいに座っている頭蓋さんの口から不吉な言葉が吐かれる。呪詛か。



「いや、いろいろ突っ込みたいですけど、まずいつですか?」

「綾は突っ込まれる方だよ」

「黙って質問に答えてください」

「うーん俺は月曜が午後から休みだなー」



つまり今度の月曜がいいらしい。


ところが大学生を甘くみてもらっては困る。月曜なんて大学の講義ありまくりだ。と思っていたんだけれど。


何気なくバッグから手帳を取り出して月曜を見た。明日はゼミ、明後日と明々後日は夜からバイト、月曜は赤で休講と書かれていた。


手帳からも呪詛が撒き散らされている。



「ーーその日は…」

「どう?」



あ、炊き込みご飯美味しいね、なんて嬉しそうに頬張る彼を見て、嘘がつけるだろうか。



「何もないけど……」

「やった!じゃあ映画見に行こう。助かったー……」

「え?助かったって」



何が、と聞こうとしたけど面倒だからやめた。どうせ「秘密」なんて言って教えてくれないんだろうし。


……冷めやすいのは時に問題だと、この時は理解していなかったのだ。


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