こんにちは、頭蓋さん。



「未確認歩行物体と」

「あ、もしかしていつも言ってる男?えーと名前なんだっけドクロさん?」

「頭蓋さんね」



端からみれば仲良さそうに話している私たちだが、実際の内容はこんなものだ。



「イケメンなんだろー?どこだどこだ。なー、その人歳どのくらい?」



そう言われて思い出す。私、頭蓋さんの年齢すら知らないんだ。



「わからない。でも容姿は茶髪で細身、指が長くて細くてーー」

「指がどんなかなんてここじゃわかんねーよ。お、あの人じゃね?イケメンだし……あーでも女の人と一緒にいるわ」



じゃあ違うな、と他をあたる彼の指した方向を見ると、たしかに茶髪で細身の男がいるが、大きな眼鏡をかけた文学少女っぽい女の人も隣を歩いている。


……ん?いや、あれは。



「あれ、あれが頭蓋さん」



自分でもわからないけれど焦った声が飛び出た。それに慌てて菓が私の視線を追う。と同時に肩にぽんと手を置かれた。



「どんまい桐島、お前浮気されてるじゃーん」



菓の声音は励ましというよりからかいの方がしっくりくる。


< 55 / 77 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop