こんにちは、頭蓋さん。
「未確認歩行物体と」
「あ、もしかしていつも言ってる男?えーと名前なんだっけドクロさん?」
「頭蓋さんね」
端からみれば仲良さそうに話している私たちだが、実際の内容はこんなものだ。
「イケメンなんだろー?どこだどこだ。なー、その人歳どのくらい?」
そう言われて思い出す。私、頭蓋さんの年齢すら知らないんだ。
「わからない。でも容姿は茶髪で細身、指が長くて細くてーー」
「指がどんなかなんてここじゃわかんねーよ。お、あの人じゃね?イケメンだし……あーでも女の人と一緒にいるわ」
じゃあ違うな、と他をあたる彼の指した方向を見ると、たしかに茶髪で細身の男がいるが、大きな眼鏡をかけた文学少女っぽい女の人も隣を歩いている。
……ん?いや、あれは。
「あれ、あれが頭蓋さん」
自分でもわからないけれど焦った声が飛び出た。それに慌てて菓が私の視線を追う。と同時に肩にぽんと手を置かれた。
「どんまい桐島、お前浮気されてるじゃーん」
菓の声音は励ましというよりからかいの方がしっくりくる。