【B】きみのとなり
『……氷夢華……。
嵩継と楽しめよ』
また風にのって
海兄の声が
聞こえた気がした。
兄貴がアタシを体から
ゆっくりはなすと
車のドアをあけて……
ゴソゴソ。
取り出したものは……
花火セット。
手持ち花火に
打ち上げ花火。
出てくる、
出てくる。
思わず、
こぼれ出る笑み。
「兄貴……何、これ?」
「見てわかんねぇかっ。
花火だよ。花火」
兄貴が得意げに
答えながら
袋を開けて、打ち上げ花火を
次から次へとセットしていく。
いつのまに用意したのか、
バケツの中に
ペットボトルの水までいれて。
次から次へと
セットした花火に
火をつけていく兄貴。
アタシたちがいる真上の空に
次から次へと
打ち上げられていく花火。
ロケット花火などが
打ちあがった後、
今度は……
手持ち花火を取り出す兄貴。
「ほらっ。
氷夢華」
そう言うと……
兄貴は、六本くらい
アタシの手に握らせる。