偽りの花嫁
プロローグ
私は松田碧(まつだ みどり)来月の誕生日で18歳になる高校生。
普通の高校生なら毎日バラ色の高校生活を送っているだろう。だけど、私はその普通の高校生活を送ることを許されていない。
毎朝、6時に起床。洗顔を済ませると決められた服を身に着けキッチンへと急ぐ。
「おはようございます!」
「おはよう、今日も可愛いね、碧ちゃん」
「ありがとう!」
キッチンでは既に料理担当の田中幸一とその助手の田所圭介が朝食の準備に取り掛かっていた。
二人の邪魔にならない様に私はコーヒーの準備を始める。
時間までにこの屋敷の旦那様の黒岩英輔(くろいわ えいすけ)のベッドまで運ばなければ罰を受けてしまう。だから、毎朝、時間との闘いとなる。
「急がないと旦那様がお目覚めになる時間だよ!」
「いつも準備を手伝ってくれてありがとう、田所さん」
ここでの生活はもう3年目になろうとしている。両親の借金の返済が出来ずに私はその借金の代わりにここで働いている。
でも、それも、18歳の誕生日までの約束。
18歳の誕生日には旦那様より特別なお言葉を頂きこの仕事ともおさらばすることになっている。
その誕生日まであと一月だ。