恋愛結婚させてください!
「私が振られるとおかしいですか?!」
と涙をポタポタ流したまま、尖った声が出る。
「いや、さっきコムギは彼氏がいるはずだってタイガが言ってたから…」
「だから、なに?!」と睨むと、
「いや、別れさせる手間が省けたなと思って。」と私の顔を見るので、
「なんで別れさせるのよ!」と怒鳴ると、
「だって、困るだろう許婚に彼氏がいたら。」と真面目な顔をする。
お兄ちゃんと、悠里ちゃんがぷっと笑い出す。
「許婚なんて知りません!」とヒイッックとまた声が出る。
「まあまあ。」とお兄ちゃんが私を座らせ、
「コムギ、腹が減ってるから機嫌が悪いんじゃない?
美味いもん、作ってやるよ。」と言って、キッチンに帰っていく。
「コムギちゃん、カシスオレンジ持ってくるね。」
と悠里ちゃんが笑って頭を撫でてからカウンターに向かう。
待って、トウマとふたりにしないで。と言いたいけど、
泣き声で言葉にならない。
テーブルに突っ伏して、低く泣き声を出していると、
トウマがティッシュの箱で私の頭をコツコツ叩く。
私が顔を上げると、
「ブス。鼻をかめ。」と笑いかけるので、
「トウマのバカー!」
とティッシュで鼻をかんでからまた、顔を伏せてしゃくりあげると、
ポンポンと頭を撫でて、
「ハイハイ。」
とトウマ君は笑った声を出した。
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