デブスの不思議な旅 ~恋と変と狂愛?と~
所変わって、王都から馬で数時間ほどの街。

「暑っち…」

甲冑に身を包んだシュリが、数人の仲間とともに駐屯地に帰ってきた。

土埃にまみれているが、かえってそれが彼の精悍さを引き立てている。

「早く水浴びしてーな」

後ろに声をかけると、緑の髪に茶色の混じった武官が、苦笑いして頷いた。

「武官長に報告してからな」

馬を次々に下りた仲間が、自然とシュリの所に集まってくる。

「お前もついてねえな、王都から帰った早々、『魔』の群れの掃討だもんな」

誰かがからからと笑った。

「ま、被害がなくて良かったけどよ。最近あいつ等大勢で来やがるもんな」

また仲間の一人が言う。

すると、先程の緑の髪の武官がふと眉をひそめた。

「…ここは王都から馬を飛ばして数時間の距離だ。だんだん、王都付近の街の『魔』の出没頻度が上がってる気がする」

その意見を肯定するように、皆黙り込んだ。

「あいつ等もバカじゃないからな。効率のいい狩りのために、何か考えているのかもしれねーぞ」

シュリが額の汗を拭った。

「何にせよ、俺達が出なきゃここの住人達が狩られちまうってのは確実だ。難しいことは上に考えてもらって、目の前の人間を守らねーとな」

若き武官たちは頷き合い、武官長に報告しに向かった。

シュリはふと、王都の方角を見る。次の休みは10日後だ。スムーズに休みを得るために、仕事に一層の力が入るのを感じていた。

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