デブスの不思議な旅 ~恋と変と狂愛?と~
「な、な、なななな…」

驚きと恥ずかしさで顔をより赤くして、桜は口ごもった。

『お、起きたか。だいぶ体が参ってるみたいだぞ。寝とけ寝とけ』

シュリの端正な笑顔が近くなり、起こしかけた上半身をそっとまた倒される。

(あ…薬、塗ってくれてたのね……)

傷口がスースーするのは、そのせいだろう。勝手に舞いあがった自分が恥ずかしい。

と、膝上に出来た傷の治療のため、シュリがスルリとマントの裾を桜の太ももまでたくし上げた。


「わあああ!ちょちょちょっと待ってください!いいですいいです自分でします!!」


自分が裸であることを思い出し、もう一度跳ね起きてシュリの手を押しとどめた。

『…?何だ?どうしたんだよ。薬塗れねーぞ』

目を丸くするシュリに、薬湯を蒸らしていたアスナイがうっとうしそうに声をかけた。

『薬をその娘に渡してやれ。うるさい』
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